2023/8/13より活動休止

謎のリュックデザイン流行

おしゃれな人は、服装にあわせてカバンをセレクトするらしい。

華のJDである私はもちろん、カバンを1つしか持っていなかった。

私はお気に入りのものばかりをずっと使い続ける傾向にある。カバンも例に漏れず、私はどんな服装だろうと、近所をうろつく時でさえオキニのダレスバッグを使い続けた。

だがダレスバッグというのは本来ビジネスの場で使うようなお堅いバッグだ。これではいつか、医薬品訪問販売風の不審な女が近所を徘徊しているとして、近隣のみなさんに通報されるかもしれない。私は新しいカバンを購入する決心をした。

肩掛けカバンだと身体が歪みそうなので、私は基本的にリュックしか許さない。早速イトーヨーカドーに出向いリュック物色を開始してもよかったのだが、意外とリュックを取り扱っている店というのは少ない。まずウェブショッピングサイトでどのようなカバンがあるのかサーチしてみることにした。

私が中高生の頃は、コンセント差し込み口のようなワッペンが貼られたリュックばかりが売られていた。だがカバンを1つしか持っていない私はここ数年のカバン業界事情を一切知らない。しばらく地下で幽閉されシャバを忘れた人間の気分で、私は令和のカバンサイトを開いた。

ザッとナウいリュックを見てみたが、さすがにコンセントリュックの勢力は落ちているようだった。しかしだからと言って、リュック業界に多様性が生まれていたかというと、悲しいことにそんなことはない。

これは女性向けリュック界隈の話だが、「動物の大きめのキーホルダーが付属しているリュック」が妙に増えていたのだ。

洋服や色の流行はシーズンごとにファッション界隈の方が仕掛けているものなので流行の起源は明瞭だ。著名デザイナーが関わっているブランドもののカバンなどに流行があるのもまだ頷ける。だが、こういった高級バックでもないリュックの数年単位の流行は、いつどこから発生しているのだろうか?

ファッションと同じようにリュック業界全体で「これから3年はこのデザインをトレンドにしましょう」を示し合わせてデザイナーがデザインしているのだろうか。だがなんとなく見ている限り「自然発生」っぽいような気もする。

まず人為的な流行なら、服と同じようにシーズンごとに仕掛けた方が売れ行きは上がるはずだ。数年間という微妙に長い期間でトレンドを設定する理由がよくわからない。それに自然発生でなければ、「令和1年〜3年ぐらいは、なんかでっかい動物のキーホルダーがついたリュックを流行らせよう!」という発言をした大人がいたということになる。そんな提案をするのは、まんがタイムきららに出てくる女子高生ぐらいではないのか。

また一方で「白森が勘違いしているだけで、そもそも動物キーホルダーは流行っていない」とも考えられる。なぜならこの動物キーホルダリュックは、web上では多く見かけられるわりに、店舗ではあまり見かけなかったからだ。海外からの輸入品なのか。それとも流行のはしりのためまだ店舗に置いていないのか。それとも私が知らなかっただけで2、3年前の流行だったものなのか。それともそれともweb検索エンジンが、私に類似の商品ばかり勧めてくるから、動物キーホルダーリュックがまるで流行っているかのようにみえているだけなのか。

広告でさえユーザーの嗜好にカスタマイズされる世の中だ。世界全体を俯瞰で見られず、動物キーホルダーリュックが世界のすべてのように感じてしまったのは、私だけなのかもしれない。

いまの、本当のリュックのトレンドは何なのだろうか。

「本当の流行」は、インターネッツにより抹消されたのだろうか。

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この記事を書いた人

白森 さわ まんが家・イラストレーター

絵や文章をかいたり、歌ったりしながら生きています。

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