6月末から女性用フィットネスに通い始めた。
結論から述べると、とても良い。運動している間は無心になれて精神的にもおだやかになれる。仕事が捗らなかった日でも、フィットネスに行くだけで「えらすぎポイント」が加算されて有意義な1日を過ごした気分になれる。このエッセイを自室の暗闇で読んでいるパソコンくん諸君にも『運動』を勧めたくて私は今こうして久しぶりに筆をとっている。
永遠にひきこもれる才能を持った、選ばれし人間であるこの私がどうしてフィットネスなんかに通っているのか?
おやおや、みんなの疑問の声が聞こえてくるね。いままでみんなの先陣を切ってひきこもっていたのに、裏切ってごめんな。責任をもって回答して差し上げよう。今年に入ってから私のひきこもり度が急上昇しすぎて「Death」の影が見え始めたためだ。
昨年の時点でも、世間様に比べて私はだいぶ在宅時間が長い生活を送っていた。とはいえ人間の尊厳を守るために行っていたアルバイヨに、週2日も通っていた。つまり最低でも月に8日は外出していたのである。
しかし今年に入ってからはどうか。1月に入ってから急に忙しくなり、私はアルバイヨを辞めざるを得なくなった。週5在宅お絵描きマン・週2アルバイター生活から一変し、週7在宅お絵描きマン、すなわち本物のHIKI-KOMORIになってしまったのだ。テレワークが解除され徐々に元の生活に戻っているみなさんが多いこの世界で、私だけ時代に逆行しているのである。
生命の危機を感じた私は、女性用フィットネスクラブの扉を開いた。
私が通っているフィットネスは、1回30分で運動プログラムを終えられることがウリのお店だ。もうこれだけの情報でどのお店なのかほぼ特定できてしまうと思うが、まあいい。そのお店……他意はないが、以後便宜上「カー◯ス」と表記しよう。そのカー◯スとやらは、中年以上の女性をターゲットとしているため、会員の平均年齢が60代ぐらいである。時には80代のおばあちゃんが元気に筋トレしている姿も見られる。
これはどういうことか。
カー◯スの運動は、1日平均歩数160歩の私にちょうどいいということだ。
この表現だと語弊があるかもしれないな。正しく表現しよう。カー◯スのマシンは油圧式のため、ゴリゴリに筋トレしたい人にも対応できるし、私のようなリハビリ運動しかできない人間にも対応してくれている、ということだ。現に私は歯を食いしばりプルプルしながら筋トレマシンを動かしている。(それでもコーチには「もっと速く動かせますか〜?がんばりましょう!」と励まされている)決してヌルい運動だけをさせられるわけではないので、体力に自信ニキも安心してほしい。
6月末から週2で通い始めてまだ1ヶ月弱だが、実際に体脂肪率は減ったし骨格筋率も上がっている。そしてお店を出る際に偶然一緒になった会員のおばあちゃんと一緒に雑談しながら帰宅するというハートフルエピソードも生まれた。私は今、確実に人間らしさを取り戻している。すっかり忘れていた、これが人のヌクモリティ……。
8月に入って活動休止の告知を出した通り、私の取り巻く環境は今、急激に変化している。実はもうフィットネスに通わずとも週2日は外出する日々になっているのだが、私はフィットネスをやめない。体力がなければ仕事もたくさんできないから。俺は骨格筋率30%を超えた、物理的に強い人間になって仕事でもブイブイ言わせたいのだ。
もしまたこのエッセイを更新する日がきた時は、きっと私はムキムキになって戻ってくるはずだ。腕力でキーボードを壊さないように、今後もストイックに寿司打をこなしパソコン人間の感覚も忘れないように努めようと思う。