2023/8/13より活動休止

衣替えスタンダード

1年ぶりに衣替えをした。

みなさまご存知の通り、去年は地球全土が赤くコア化し世界中に赤い十字架が刺さる事態となった。私の日常も一変し、学校に登校する機会もなく毎日パジャマ姿で体育座りをして過ごした。洋服を着用する機会なんて、せいぜいSEIYUへ買い出しに行く時ぐらいしかなかったのである。(SEIYUは元から赤いためコア化を免れた)そのため、ここ1年衣替えをせずとも特に不便なく暮らせていた。

だが、私は知ってしまった。「人は長期間引きこもると、体調が悪くなる」と。

ひきこもりがちな人間ほど、意識的に散歩に行かねばならぬのだ。

私としては、パジャマのまま外を彷徨きたい気持ちでいっぱいだ。だがこの人間社会では、外に出る際は洋服を着なければならない。さもなくば病棟から逃げ出した「脱走人」だと勘違いされ、警察に保護されてしまう。

しかし、今の私のタンスの中でデュエルスタンバイしているのは一昨年から出しっぱなしの冬服たちだ。畳まれたニットはちゃおデラックスほどの分厚さを誇っている。これは流石に衣替えをしなければ、まともに着れる服がない。私は重い腰を上げた。

春夏服が収納されているボックスを開けた。いままでよりも明らかに服が少ない。それもそのはずで、去年の春に姉が実家を出る際に洋服を半分持っていったからだ。それまで、私と姉の服は共用だった。22歳にしてようやく「自分専用の服」を所持できる状況になったと気がつき、ちょっと衣替えへのやる気が出た。まあ、私はよく姉のお気に入りの服にご飯をこぼしてシミをつくったりしていたので、いままでの状況に不満を持っていたのは姉の方だと思うが。

衣替えを始めると、存在を忘れていた服が出てくる。すると、なぜだか私の脳はその服を「今買った」と錯覚し、なんだか得した気分に浸れる。今回も、1年ほど見かけなかった服たちが掘り出され、一気に10着ぐらい新しい服を購入した気分になれた。

それにしても、私の服の半分以上は高校時代から着ているものばかりだ。普段はパジャマばかりで服をあんまり着ないくせに、毎年ちまちま買い足し、かつ古い服をあまり捨てないため、どんどん服が増えていく。

ナウい女子大生のみんなは、どれぐらいの頻度で服を買い、捨てるのだろうか。服には流行があるため、流行に乗った服を着ている人たちはワンシーズンで捨ててしまったりするのだろうか。

衣替えのスタンダードがよくわからない。

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この記事を書いた人

白森 さわ まんが家・イラストレーター

絵や文章をかいたり、歌ったりしながら生きています。

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