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ブログ日記

美容師マシンガントーク

 

去年の夏以来、約9ヶ月ぶりに美容院に行った。

「外出しづらいご時世だし、美容院も行きづらいよね」と好意的解釈をしてくださった読者諸君には申し訳ないが、違う。私が9ヶ月も美容院に行かなかったのは、大学がずっと遠隔授業かつ元から引きこもり体質で誰にも会う機会がなく、身だしなみを整える必要がなくなったためだ。つまり、単なる怠惰である。

私は癖毛で毛量も多く、髪が伸びるスピードも尋常ではないぐらい早い。本来であれば2、3ヶ月に一度はカットをし、半年に一度は縮毛矯正をかけなければ、m.c.A・Tでさえ声を震わせるほどのボンバヘッドを世間様に披露することとなる。にも関わらず今の私の頭は9ヶ月も放置されている上、もうすぐ日本には「梅雨」が上陸するのだ。

梅雨、すなわち湿気、すなわち癖毛大爆発。

伏見つかさ先生とかんざきひろ先生のタッグは大歓迎だが、癖毛と湿気のタッグは勘弁願いたい。湿気ムンムンの季節を目の前にし、さすがの私も危機感を覚えた。いい加減美容院に行かなければ、私の頭を巣と勘違いした繁殖期のカラスに寄ってたかられてしまうだろう。人間は寄せつけずにカラスを寄せ付ける女。メルヘンチックに捉えれば、大人の目には映らないステキな森の妖精のようだが、実際は頭を爆発させたネクラの妖怪でしかない。私は意を決して美容院へ足を向けた。

この9ヶ月間、私は美容院通いをサボっていたが、美容院自体は「好き」だ。なんなら週一で行きたいぐらいには。「白森ってネクラだし、陽気でおしゃれな人間(美容師)にやたら話しかけられる美容院は苦手だと思ってた」と、失礼なことを今考えた読者がいることは知っている。もしかしたら私のネクラエッセイを読んで私にシンパシーを感じていたネクラのキミは、ささやかなショックを受けているかもしれない。しかしそんなキミに朗報だ。私としては非常に遺憾なのだが、「白森は美容師に話しかけられるのが超絶苦手」という読みは、合っている。

美容師のマシンガントークは、電話をかけることの次に苦手だ。ではなぜ美容院が好きなんて言えるのかというと、それは私が「人にシャンプーされるの大好き人間」だからである。日常生活上で他人に身体を触られるのはノーサンキューだが、邪念がないプロの方が相手であれば話は別。プロにマッサージやらシャンプーされるのはウエルカムなのである。私がもし富豪になったら、まずはじめにシャンプーとマッサージを毎日やってくれる人を雇いたい。それぐらい好きだ。ちなみに現在の私は富豪とは程遠く実家暮らしの穀潰しのため、真面目マッサージ小説を読み無銭で自分の身を癒している。かなしいね。

しかし、いくらシャンプーが好きとはいえ、美容師によるプライベート根掘り葉掘りトークが苦手という事実は変わらない。そのため私の脳内では美容院の予約を試みるたびに、シャンプーはされたいけど美容師とは話したくない!という感情内戦が勃発していた。そして結局、私の「美容室に行きたい欲」は長年プラマイゼロの値を指し続けていた。

しかし去年、状況が一変した。私の陰のオーラを察して、プライベートを探ってこない美容師を見つけてしまったのだ。

その心遣いが素晴らしい美容師さんは、美容業界内でも有名で高い人気を誇っている方である。この方が人気なのは、技術云々以前に客一人一人の気質にあった接客ができるからであろう。美容師は技術職でもあり高度な接客業でもある。いつも1人で絵を描いて生きている私とは真逆の存在で、カリスマ美容師すげ〜〜と口をぽっかり開ける他ない。生意気にも私は、そんなにも人気の美容師様を去年から指名し続けているのだが、オシャレに気を遣っているチョベリグなナオンということで許してほしい。

なにはともあれ私は、長年の敵であった美容院マシンガントークから解放されたのだ。

私の「シャンプーされたい欲」を止められる者は、もういない。

 

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